あらた先生
あらた先生が解説します!

<原価率という概念>
 あくまで目安ですが、一般的に原価率は70~80%とされています。すなわち、原価(売上原価・コスト)は、売価(売上・値段)の7~8割とするということです。

 
 もちろん業種・業態によって大幅にかわってきます。大企業(製造業)は先程の原価率70%程度ですが、ラーメン屋さんは原価率20%程度ともいわれています。ラーメン1杯800円を160円位でつくっているわけで、当たれば儲けは相当デカイ!というわけです。

 

 商品販売業なら「商品仕入れ」を売上原価の基礎(期首・期末の在庫も影響します)とし、人的サービス業なら「人件費」(販売費及び一般管理費)がそのまま売上原価となります。製造業なら製造原価報告書(C/R)の「当期製品製造原価」が売上原価です。大企業ともなると、直接費としていきなり70%もかかるので、当期純利益ともなるとさらに加減されて、最終的に売り上げの20分の1くらいとなるわけです。もちろん特別損益しだいで大きく変動しますので、一概には言えないかもしれませんが、大企業のモウケといっても実はこんなものなのです。「行列のできる」ラーメン屋さんに比べればちっぽけなものなのです。

 

<値段の付け方>
 値段の付け方(「値付け」と称されることも多いです)にも触れてみたいと思います。基本的に「売れるかどうか」が判断基準であって、「値付け」は経営者の自由となっています。法律上の規定というのは特定の業界以外にはないです。

 

*「値段がある」特定の業界って?

 ・診療所、病院などの「社会保険診療報酬」は、1点10円で社会保険診療行為ごとに点数も決まっているため、値段があると言えるかと思います。

・「電力会社」の電力サービスや太陽光発電の電力買い取り制度も値段があると言えるかと思います。

・住民票の写しの取得や登記などの「行政サービス」も値段が決まってますよね。

*はい、余談でした。

 

「良心的価格」などという言い方がありますが、「倫理的」なものであって、「法規制」はありません。よって、上記の病院や電力会社以外の一般的な業種・業態であれば、値段の付け方は基本的に「自由」なのです!
 あと、強いて言うのなら、「独占禁止法」というのがあります。他の業者を排除するために、異常なまでの値引きをしたり、排斥活動などをして、シェアを独占すると違法とされる場合があります。しかし、今はモノが売れない時代となり、そんな気合いの入ったモウケ話は最近ききませんよね。

 

★さて、この売上原価に関連して、特別な処理をするケースがあります。

 

<自家消費等について>
 贈与(=他人にタダであげること)や低額譲渡(=他人に著しい割安価格で売る事)、自家消費(=自宅でタダで使う事)の場合、特別な処理を行う事となります。
 「所得税法」では、自家消費等の計算でつかう原価率を70%と固定化しております。すなわち、自家消費等をした場合の確定申告書作成について、当初の値段の70%を「事業所得の総収入金額」に算入しなければならないとされています。あとで税金上負担が大きくなるため、考えようによっては、値段もいい加減にはつけるわけにはいきませんし、また、自家消費等もやたらやると事業として成り立たなくなることがわかります。

 一例を挙げれば、果物や魚類の初競りで、商品1つ10万円が売れ残って自宅で食べる、又はタダでプレゼントしたりしたら、所得税法上、その70%である7万円は売り上げ計上し、課税対象となるということです。このように妙にふっかけた値をつけると確定申告時に自爆するようなこともあり得ます。そして、その自家消費による売り上げ計上を隠避したら、脱税とされペナルティの対象となります。
 よって、適正な価格をつけるべきで、商品1つあたりの売上原価を0.7で割り返した額を「値段」とするのがだいたいの目安でしょう。もっとも、「需要と供給の関係」も重要ですから、これとのバランスで最終的な値付けをします。

 ちなみに、「消費税法」では、上の70%を「50%」として同様の処理をします。なぜ割合がちがうんだ?混乱するのでは?と思われますよね?私も理由をしりません!税金七不思議です。

 

<消費税法 簡易課税制度の「みなし仕入率」を参考に?>

 消費税法には、中小事業者向けの仕入れ税額控除として、簡易課税制度が用意されています。売上げだけしっかり消費税の課税区分できれば、仕入れについては請求書等の保存も不要ですし、事業区分ごとの原価率に相当する「みなし仕入れ率」が用意されています。

 この原価率に相当する「みなし仕入れ率」で、実際の原価を「割り返す」と売上げの目安となるかもしれませんよ。

事業区分みなし仕入れ率
第1種事業(事業者向けの卸売業)90%
第2種事業(消費者向けの小売り業)80%
第3種事業(製造業・建築業)70%
第4種事業(飲食・使用資産の譲渡・賃加工)60%
第5種事業(サービス業)50%
第6種事業(不動産業)40%

例えば、あなたが建設業界の営業担当だとして、

見積もり工事原価 700万円 となるような原価の見積もりがされた案件の売上げ(見積書や請求書を作成する場合の金額)はどうしたらよいでしょうか?

上の「第3種事業」の「みなし仕入れ率」が70%ですから、

700万円 ÷ 70% = 1,000万円

で受注(売上げの見積書を作成)するというのはいかがでしょうか?すごくシンプルですよね。

<価格の表示の留意点>

 「消費税法」の改定(軽減税率導入など)によって、B to C で行う商品の値段・価格の表示については、「税込金額」を表示するという「総額表示」が原則とされることになりました。例えば、飲食店、小売店で不特定多数の方(いわゆる消費者)が、商品やメニューを見る際の値段・価格は、予め、税込金額で表示しなければならないというものですね。

 

 一部例外があり、B to B、例えば、機械製造業が他の会社に機械を販売するような場合は、税抜き価格の表示で差し支えないものとされています。プロ同士(事業者同士)なら消費税額いわんでもわかるでしょ?ということですね。

 

<まとめ!>

 色々解説しましたが、いずれにせよ、売上高と売上原価、売上げと仕入れの関係を把握するのは非常に大切です。

 「受注単体で赤字を出さないような値付け」を繰り返すことが、通年黒字にもつながりますので、各取引毎に値付けを大切にして頂ければみなさんの事業も継続的に上手くいくと思いますよ!

 

 このように、「値付け」は、誰にとっても実に悩ましいところでしょう。仲卸市場の魚屋さんや果物屋さん、八百屋さんの値付けは参考になります。客が帰りそうになったら値札の値段をすかさず下げて声掛けしたり、まとめ売りしたりします。脱帽の営業テクニックですから、ぜひお店を観察するなど、参考にしましょう。

 

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