あらた先生
あらた先生が解説します!

○ 家族が震災で行方不明になったのですが、どうしたら?

 まずは警察に捜索願を届出ましょう。すぐに帰ってくる事をお祈り申し上げますが、やはり万が一の場合の事が気がかりかとお察しいたします。震災後することは様々ありますが、ここでは主に相続関連について触れようと思います。

 万が一、死亡が確認された場合には通常通り相続の対象となります。問題は、死亡が確認されない場合です。震災に巻き込まれたことが明らかで、いまだ行方不明ならば、震災が一定程度終息した時点から1年経てば、みなし死亡のうち特別失踪として相続が開始されます。また、震災時期でも震災とは関係ない地域へ出張したまま帰ってこない様な単なる行方不明ならば、普通失踪として7年間保留されます。

 なお、行方不明の間、ご家族の財産目録(資産だけでなく、負債も把握)を作り、また、第3者に悪用されぬよう保全する事も大切です。特に、クレジットカード・キャッシュカードは迅速な利用停止措置を講じる必要があります。お早目の対応をお勧めします。

 ご家族がお亡くなりになり、全ての行政手続きを早めにされた方が良いです。市町村への死亡届や年金受給の解除等はもちろんですが、相続の放棄や限定承認は相続開始から3カ月以内、相続税の申告は10カ月以内とされており、やる事が多い割には時間が少ないからです。また、相続財産の名寄せや財産目録の作成、相続人との協議、納税準備金の用意なども時間と労力を要する内容です。精神的にも大変な状況と思いますが、お早目の対応をお勧めします。

 

○ 母はすでに他界、資産家の父が亡くなりました。その後、愛人を名乗る女性が財産の配分を要求してきましたが、どうすれば?

 その愛人がどうかというよりは、お父様と愛人の間に血の繋がる子がいるのかどうかが問題となります。

 まず、遺言状の指定でもなければ愛人には相続権はありませんし、愛人との間に子がいなければ、完全に無視しても民法上問題ありません。話はこれでお終いのはずです。

 しかし、問題は愛人との間に実子がいた場合です。その子を非嫡出子といい、民法上相続権があります。均分相続の例外として、配偶者との子である嫡出子の法定相続分の2分の1の相続権が非嫡出子にはあります。この場合は、無視することはできませんので、トラブル回避のため、協議分割など弁護士・司法書士の立会いの下、遺産分割をできるだけ円滑に進めていくことになるかと思います。

相続税の支払いについても非嫡出子と協議することになるかと思います。その場合は税理士にご相談されるとよいでしょう。

 非嫡出子など、遺産トラブルになりそうな場合は、早めに弁護士・司法書士・税理士などの立会をお願いする方がよいでしょう。家族でもない人に遺産をあげたくない!という気持ちはわからないでもないのですが、最悪は裁判沙汰という遺産分割の泥沼化を避ける意味でもどこかで折り合いをつけたいところです。

 

○ 相続財産に負債があり、かなりの額なのですがどうしたら?

負債が巨額で相続にメリットがないと思える場合、限定承認と相続放棄があります。

1.限定承認 : 資産相当額分だけ負債を相続します。これにより、資産以上の負債分は相続しないものとされ、切り捨てることが可能となります。被相続人の死亡後最期の所得税計算で、みなし譲渡として時価課税されます。なお、資産分が残ったなら、その分相続人が相続することとなり、相続税が課税されます。但し、適用には相続人全員が共同して限定承認の適用をすることが求められます。

2.相続放棄 : 相続対象の資産も債務も一切相続しないとするもので、単独でも受けられます。但し、相続人でなかったとみなされますから、法定相続人の数にカウントされなくなり、相続税の非課税限度額を下げる事になります。

 なお、これらは相続の開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要があり、早めの対応が必要となります。

相続開始後3か月以上経つと自動的に単純承認となります。税金も相続税で課税されます。その際、受け継ぐ負債は相続税の債務控除の対象とはなりますが、負債を切り捨てておきたいのなら早めに限定承認や相続放棄した方がよいでしょう。

 

○ 伯父が生前世話したからとかで父の遺産の配分を要求してきましたが?

特に遺言状で伯父への配分が書かれてなければ、民法上完全に無視してよい例だと思います。

 相続人には相続順位というのがあり、配偶者→子→→直系尊属(直接の両親)→兄弟姉妹という順位になっていますので、お客様が子であれば、伯父には相続権がないからです。

遺産分割では関係ないので突っぱねられますが、その後、親戚関係が悪化しないための別途配慮は必要かもしれませんね。

遺言書がなく、兄弟仲も悪かったので、相当もめそうです。今後どうなるのでしょうか?

1.指定分割→2.協議分割→3.調停分割→4.審判分割という順で遺産分割が決められていきます。指定分割が最も円満な分割で、審判分割は泥沼化した分割といったイメージです。

1.指定分割 : 遺言状通りの分割、又は、民法通りの分割で、最も円満な分割形態です。

2.協議分割 : 共同相続人の全員の参加と合意で、民法規定の分割以外の決定も可能になります。但し、一部の相続人を除外して合意したら無効となります。

3.調停分割 : 協議分割が上手くいかなかったときには、家庭裁判所の調停により、審判官・調停委員の斡旋のもと、当事者の合意を図り分割します。

4.審判分割 : 調停でも無理なら裁判です。ただし、家庭裁判所の裁判官は民法にのっとり裁定しますので、結局民法通りの決議がされます。泥沼化の末に、結局民法通りの分割となるわけです。

分割が泥沼化しそうなら、早めに弁護士・司法書士を立てるのも有効と思われます。

 

○ 私が死んだら相続でもめそうで、死んでも死にきれません。どうしたらいいでしょうか?

 遺言状を遺しましょう。普段仲の良い姉妹でさえ、遺産分割でひと悶着することもあるそうですし、遺産の額が小さい方がよりもめるという例もよく聞きます。そういうわけですので、遺言は是非元気なうちに遺しましょう。

 ところで、一口に遺言といっても3種類ありますし、それぞれルールもあります。

遺言方法とルール

1.自筆証書遺言 : 本人が全文・日付・氏名を自書し、実印でなくてもよいので、押印します。発見者が直ちに家庭裁判所へ提出し、検認を申請する必要があります。これの良い点は費用をかけず、すぐに本人が書きかえられることと、部外者に相続前から知れることがないことです。但し、改ざんや無効化などの可能性もあるので注意が必要です。

2.公正証書遺言 : 公証人に口述筆記してもらい、原本を公証役場に保管してもらう方法です。改ざんや無効化の心配もなく、検認も不要ですが、公証役場に相続額に応じた手数料を支払う必要がありますし、公証人・証人とは言え赤の他人に遺言内容を知られ、また、ちょくちょく書き換えたりすることができない点が人によってはマイナスとなるかもしれません。

3.秘密証書遺言 : 公正証書遺言に似てますが、誰が書いてもよい点、検認が結局必要な点が異なります。手続きも2.よりさらに煩雑ですが2.を上回るだけのメリットが見出せません。

 時折書き直したい方には1.を、改ざんされたりしないためには2.をお勧めします

1.ですが、ワープロや録画などでの遺言は無効となってしまいますので、全文・日付・氏名・自書・押印の5カ条をしっかり守りましょう。

2.の公証人とは、経験を積んだ法律実務家である公務員で、公正証書の作成などを職務とします。また、公証役場は全国約300か所ありますが、公証役場・公証人には管轄があるそうなので、最寄の公証役場であれば間違いないでしょう。

 

○ 資産家の父の遺言状に「愛人に全て遺産を譲る」旨が書かれていました。阻止又は救済策ありませんか?

以下、禁止事項と救済策があります。

禁止事項 : 家族の死後、遺言状を発見した者は、遅滞なく、家庭裁判所にその遺言書を提出し、遺言の検認(けんにん)の請求をすることが義務づけられています。検認とは、遺言状の改ざんや破棄などを防止する証拠保全の法的措置です。この発見者が検認の手続きを怠った場合は、5万円以下の過料(かりょう)が科されます。ちなみに、過料とは、いわゆる罰金で、行政上の軽い禁令の金銭罰です。

 よって、愛人への財産移転阻止のため、破り捨てる、書き換えるなどの行為は違法行為で、金銭罰の対象となります。

救済策 : 遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)があります!民法上の相続の配分(例えば、配偶者2分の1など)で本来は家族に配分されるはずで、通常の相続人への遺産の最低保障がされています。これを遺留分(いりゅうぶん)といいます。遺産総額に対する遺留分としての最低保障部分の割合は以下の通りです。・配偶者のみ・・・遺産全体の2分の1
・配偶者と子・・・遺産全体の2分の1
・子のみ・・・遺産全体の2分の1
・兄弟姉妹・・・遺産の遺留分なし

 これにより、遺産全体のうち2分の1は、愛人への財産移転を防ぐことができます。但し、愛人に遺留分を侵害されたことを知った日から1年以内に遺留分減殺請求をしないと時効になりますから、早めに家庭裁判所への請求をしましょう。また、トラブルそのものですから、弁護士や司法書士を早めに立てた方がよいでしょう

自筆証書遺言を破り捨て、黙秘を続けた場合、結果、遺言状が1枚も他に存在しなければ、もしかしたら阻止に成功するかもしれません。しかし、遺言状の内容からして、お父様が愛人にも遺言状を渡している可能性は極めて大です。現存する最新の遺言状が有効になるため、愛人保有の遺言が有効になるだけの話かもしれません。しっかり検認請求して、遺留分減殺請求しましょう。

まとめ
 検認と遺留分減殺請求を受けると一定の救済がされます。なお、破棄などはしない方がよいでしょう。

 

○ 父の資産2億円・負債2千万円を母・妹・私の3人で相続します。相続税の試算をして頂けませんか?

 遺言状、生前贈与や財産放棄などで試算はより複雑化していきます。基本的に相続税は税理士にお任せするのがよいでしょう。

 

○ 父の財産に負債の未返済残高や死後の費用発生がありましたが、相続税の控除対象となりますか?

 控除の対象となるもの、ならないものがありますので、注意が必要です。

遺産総額から控除できるもの・負債残高 : 借入金全般、未払い医療費、父の最期の所得税・住民税未納分、父の資産に係る固定資産税の残高
・発生費用 : 通夜・告別式の葬儀代、火葬・埋葬・納骨費用、遺体捜索費

控除できないもの・負債残高 : 墓地・仏壇の未払い購入費、保証債務、遺言執行費用、弁護士・税理士費用
・発生費用 : 墓地・仏壇購入費、香典返礼品関連費用、初七日などの法会・法要費用、遺体解剖費

 葬祭費用がまぎらわしいです。いわゆる「最期の買い物」かと思いますが、相続税の控除にまわせないものもあるので、注意が必要です。特に墓地は巨額になりがちなので、気をつけたいところです。

ちなみに、墓地は相続税の控除対象にはなりませんが、一度買ってしまえば、固定資産税は永遠にかかりませんのでご安心を。但し、「供養料」や「年間管理費」などの毎年かかる費用はお墓の運営会社次第ですので、各社に問い合わせましょう。参考まで。

 

○ 相続財産が不動産だけで、相続税の現金納付が難しいのですが?

相続税の納付は、金銭での一括納付が大原則です。しかし、相続不動産の価値がかなり高いにも関わらず、相続財産に現金が含まれず、相続人(今回の相談者自身)も現金を十分に準備できなかったとなれば、金銭納付が難しいこともあるでしょう。そこで特例として、1.延納(えんのう)、それも無理なら2.物納(ぶつのう)がありますのでこれらの適用を受けたいところです。

1.延納 : 相続税額が10万円超で、金銭一括納付が厳しい場合、延納申請書を提出し、担保の設定利子税の支払いを条件に、5年以内の分割納付ができます。
 なお、延納と似た言葉として延滞(えんたい)がありますが、延滞は申請承認を得ていない状態を言います。この場合、利子税ではなく、ペナルティとしてより重課の延滞税を支払わなくてはなりませんので、お気を付け下さい。

2.物納 : 延納が厳しい場合、物納申請書の提出により、以下の順位に従い、上位のモノから納付します。
 ・最優先で充当・・・国債、土地、建物
 ・次に充当・・・株、社債
 ・最後に充当・・・マイカーや貴金属などの動産
なお、抵当財産、共有物などは物納不適格とされ、充当できません。

なお、これら特例の申請期限、および、延納から物納への変更申請は、通常の納付申請期限と同じ、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内となっております。

 

○ 親からお金をもらってますが、いくらまで非課税ですか?

 贈与税の規定によると、110 万円が基礎控除としてありますから、基本的には暦年(1月1日~12月31日)でこの金額までの受け取りが贈与税の非課税となります。
 上記はだれにでも当てはまる大原則ですが、贈与税の優遇として、以下のような特例もあります。
配偶者控除 : 婚姻関係20年以上で、不動産の取得に係る贈与税は、上記基礎控除に加えて、2,000 万円を加えて控除できます。つまり、このようなケースでは、暦年で最大 2,110 万円まで非課税となりえます。
相続時精算課税制度 : 財産の若年層への転化のための政策によるものです。父母が65歳以上で、20歳以上の子への財産移転の場合に選択適用できます。暦年ではなく、父母の死亡時までの贈与額の累積で評価されます。贈与財産累積額から特別控除( 2,500 万円)し、超えた年に20%課税されます。なお、基礎控除は受けられなくなります。つまり、制度適用時から父母の死亡時まで(注:暦年ではない)累計して 2,500 万円までが非課税となります。

専従者ではない生計一親族への給与(娘へのお手伝い代月10万円など)は、所得税法上必要経費には算入できません。しかし、贈与税の課税対象にはなり得るということです。租税回避防止とは言いますが、公平性としてはどうでしょう。課税の7不思議ですかね?

 

○ 相続については誰に相談したらよいのでしょうか?

 大きな財産も所得もなく、係争もなく、相続税の発生がないのであれば、申告等も相続関係は不要ですから、特に誰にも相談せず、相続関係は完結してよいでしょう。
 これらについて申告や、心配事、実際のトラブルなどあれば、以下の士業に相談すると個別具体的な意見がもらえるでしょう。
相続に関する係争・紛争の相談 : 弁護士・司法書士へ相談します。トラブルになりそうなら早めに立てておくべきでしょう。総合法律事務所などの中には、以下も含め、一括でお任せできる場合もあるそうです。
相続土地の区画や登記簿の相談 : 土地家屋調査士へ相談します。例えば、敷地の境界線が長い年月であいまいになりかけていた時に、被相続人の保有していた敷地の相続財産評価のためにも、境界線の引き直しをしたりします。
相続時に係る税金の相談 : 税理士へ相談します。相続税の申告はもちろんですが、被相続人の死亡時の確定申告として所得税の申告なども請け負ってくれます。

他にも、相続財産次第で相談相手が増えます。例えば、株をもっていたなら、株の保有状況把握と価値評価のため、証券会社の窓口の証券外務員に相談することになります。なお、相続に関しての全体的な概要であれば、FPが対応致します。

 

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