小規模事業者のための電子帳簿保存法・令和4年1月1日からの対応をどうする?
中小企業・個人事業者向けに出費を控え・簡単な方法を模索します

令和4年1月1日から、改正・電子帳簿保存法が施行されますね。
間もなく施行されますが、ご準備の方はバッチリですか?

最近、「電子帳簿保存法の改正に間に合う?今すぐソフト購入を!」というようなDMなどがやたら届いていて、焦らされたり、不安だったんです。
ご時世ですので、電子帳簿保存法の対応とDX推進の対応を検討していまして、色々調べてきたのですが…。
タイムスタンプ対応の文書管理ソフトは、価格が高級であったり、無料と言いながら難しい規約があったりして、まだソフトウエアの選定を決めかねています。
あと数日しかないので、どうしようか悩んでいまして…。
小規模事業者なので、お金を極力つかわない簡単な方法、なにかありませんか?

中小企業・個人事業者の方々としては、極力出費を抑えたいですよね。
施行まで1週間を切りましたので、時間も限られますから、簡単な方法が良いですよね。
当オフィスも同じ立場ですので、一緒に考えてみましょう!

税理士Aさん
電子帳簿保存法は、文字通り、税務上の証明となるデータ保存をどうするかの法律です。
① 電子帳簿等保存(電子的に作成した帳簿書類をデータのまま保存)
② スキャナ保存(紙で受領・作成した書類を画像データで保存)
③ 電子取引(電子的に受領した取引情報をデータで保存)
の3種類に区分されていますよね?
中小企業・個人事業者の方々は令和4年1月1日からどうしたら良いでしょうか?

まず、① 電子帳簿等保存 と、② スキャナ保存 についてです。
これらについては、ムリに電子データ保存にはこだわらない方向性で、いかがでしょうか?
紙保存だと違法というわけではありません。むしろ、紙保存の方が、昔からの税法上の大原則であり、電子帳簿保存法の方がDX推進のための特例的な新法です。
小規模事業者なので、紙の書庫もそんなに場所をとらないかと思います。小規模事業者ですと、紙書類よりも、文書管理ソフトによるデータ保存の管理費・事務負担感の方が大きく感じるケースもあるかもしれません。DX推進そのものが重荷となってしまっては、コストダウンや労働生産性の向上も本末転倒です。
よって、電子帳簿保存法のうち、① と ② については、小規模事業者はあまり気にしないでも良いのではないかと考えております。

税理士Aさん
文書管理ソフトの購入を焦らせるようなDMなどは無視で良いと思いますよ。
① の代替として、今まで通り、会計ソフト・税務ソフトから帳簿書類を紙で印刷して保存で良いかと思います。紙保存が税法上の大原則なのですからね。
なお、個人事業者の青色65万円控除については、e-Taxによる電子申告で対応ということで、いいのではないでしょうか?
② の代替として、今まで通り、ノートや台紙に紙の領収証やレシートを貼って保存で良いのではないでしょうか?
② により、紙レシートをスマホやスキャナ等でスキャンしてすぐに破いて捨てるCMやニュースなどを見かけるようになってきました。紙レシートだけで1日数百枚・数千枚を経理課が処理するような大企業だと、書庫管理・労力・コスト面など、確かにメリットはあるかもしれません。
しかし、小規模事業者なら、1日数枚かと思いますので、事業者自身でその日の夜にでも紙レシートの台帳貼りと仕訳入力が十分可能かと思います。
なお、② の電子保存の場合、タイムスタンプを押すタイミングの要件緩和はありましたが、タイムスタンプを押さなくて良いわけではありません。ムリにタイムスタンプ対応の高級なソフト・扱いが難しいソフトを電子帳簿保存法のためだけに購入するのは、小規模事業者には厳しいかと思います。
そういうわけで、① も ② も、これまで同様、紙保存で良いかと思いますよ。

おぉ! 希望が見えてきました。
では、③ の電子取引の対応はどうしましょう?

③ 電子取引 だけは、小規模事業者でも一考が必要そうです。
紙の領収書などを郵送や手渡しで受領するのではなく、メールやネットなどで電子的に発行された請求書・領収書・レシートなどを受領することがあるかと思います。例えば、通信事業者、電気・ガス供給事業者、通信販売事業者、航空会社などからの電子的な請求書・領収書として、私はよく見かけます。
今までは、これらの電子取引情報を、印刷して保存する手段が認められていましたが、改正後の令和4年1月1日から、この紙で印刷する方法はNGとなり、電子データのまま保存することが要求されています。小規模事業者も例外ではありません。

が~ん!(ショック)
ではやはり、一転して、タイムスタンプ対応の高級ソフトなどが必要なのでしょうか?

税理士Aさん
高級なソフト・扱いが難しいソフトを電子帳簿保存法の ③ のためだけに購入するのは苦しいですよね?
電子取引の保存要件である真実性の要件 ④ 「正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定め、その規程に沿った運用を行う」ことによるのは、いかがでしょうか?

なんですの? それ?
言いにくいのですが…正直よくわかりませんでした。

A先生が言ったのは、国税庁HPの記載をそのまま申し上げたものですので、小難しい感じに聞こえますよね? よって、私から以下のように簡単に解説しますね。
メール等から請求書等の電子データをダウンロードして、自社のパソコンやサーバーなどに電子的に保存することになるかと思います。そのデータ保存として、データの改ざんがないようにするのなら、③電子取引の保存要件として認められると読み取れるものです。
早い話、「データ改ざんをしない」ことを社内規定で定めて、ちゃんと電子取引データを保存するなら、タイムスタンプ対応の高級ソフトによらなくても良いと解釈できるものです。
また、可視性の要件として、「検索機能を確保すること」とありますが、小規模事業者の特例がある様子ですし、仮に売上げ規模が大きい場合に特例が受けられなくなったとしても検索用のエクセル表のようなものを必要に応じて作成すると良いとも解釈できます。

おぉ! ありがたや~!
それなら、今のIT環境のままでも全然問題ない様子ですね!
そういえば、先ほどの「規定」って、どういう内容で作ればよいでしょうか?
なにかフォーマットなどはありますか?

国税庁HP(*)に、法人用・個人事業者用の2種のフォーマットがありましたよ!
・電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(法人の例)(Word/16KB)
・電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(個人事業者の例)(Word/18KB)
当オフィスもこれを加工して規定をつくっておきました。
ちなみにですが、消費税法上の区分記載請求書として不足する必須情報(税率の区分など)を追記することとされていますので、規定上「修正」するとしたら、こういった点かと思います。また、令和5年10月1日から適格請求書保存方式・インボイス制度がはじまりますが、電子インボイスのお話しも出てくるかと思います。いずれ詳しくお話ししますが、今日のところは電子帳簿保存法がメインですので、参考まで。
そんなわけで、上記の準備で、令和4年1月1日からも改正・電子帳簿保存法の対応は、準備バッチリOKかと思います。
(注:あくまで当オフィスの考察です。お客様の個別具体的な状況・環境等によって、当てはまらないケースもあるかもしれませんので、ご留意の上、自己責任にて情報をご利用ください)
(*)国税庁HPへのリンクにつきましては、リンク先のご都合により、将来的にリンク切れすると思いますが、予めご了承ください。

ありがとうございます~。
費用もかけず、簡単な電子帳簿保存法の対応も、なんとかなりそうです~!
念のため、詳しく相談もしたいのですが、予約いいですかぁ~?

もちろんです!
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