「令和4年度税制改正大綱」をSNSマンガ風考察(第2話)令和4年からの「住宅ローン控除」はどうなるの?
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控除率が下がり、控除期間が延びる?全体としては有利?不利?
令和3年12月10日(金)与党(自民党・公明党)より、令和4年度税制改正大綱(正式名)が発表されました。
前回の第1話では、税制大綱(通称)の「そもそも論」に触れました。税制大綱とはなんぞや?という方は、まずこちらをご覧ください。税制大綱は、法案としては、あくまでドラフトですが、早めに情報を掴んでおくべきである旨をお伝えしました。
さて、第2話からは、いよいよ、税制大綱の中身・本体部分の考察に入っていきます。
今回(第2話)は、令和4年からの「住宅ローン控除」について、一緒に考えていきましょう!
個人的な意見や見解・分析結果なども多々交えますが、SNSマンガ風に楽しく理解していきましょうね。
(*税理士の先生からのご意見やご見解も募集します!)
「令和4年度税制改正大綱」は、自民党のホームページにて、PDFファイルとして公開されております。ご興味ある方はこちらをクリックしてください。新しいタブで開きます。リンク先のご都合により、将来的にリンク切れするかと思いますので、ご承知おきください。
まず、住宅ローン控除の控除率が下がる見込みである点について、真っ先に考察したいですよね。
令和3年居住開始分までは、控除率 1.0% が、ここ約10年の居住開始年くらいは続いていました。
ところが、令和4年居住開始年分以後となるものから、控除率は 0.7% として、今回の税制大綱で改められる予定と読み取れるかと思います。
おぉ…(泣)
住宅ローン控除の控除率が 0.3% 下がる予定ということですね?
都心から地方に移住して、マイホームを借入金をしてでも買おうかなと思っていた矢先なだけに、悲しいお知らせです~。
まず、控除率にだけスポットを当てますと、明らかに納税者不利の改正案と言えるかと思います。
ゼロ金利政策からマイナス金利政策になったことによって、控除率(現行1.0%)と借入利率(近年では 0.5 ~ 1.2% などを見かけますかね?)による率差が、プラスとなって益税となるケースもあり得ました。その益税を抑えることが今回の改正の目的かと思われますね。税務当局は、標準的な借入利率を 0.7% とみているということでしょうかね?
他に、納税者不利となる改正案のポイントはありますか?
私たち納税者側に不利な情報は、早めに知っておきたいので、お願いいたします。
そうですよね。
税制の改正案は早めに理解し、大きな投資をする前に色々考えておくことが大事です!
お察しの通りで、残念ながら、不利な改正案は他にもあります。
しばらく続いてきた「合計所得金額」(*)による各年分の適用要件も厳しくなります。
下記の金額を超える年は、その年だけは住宅ローン控除を適用することができないというものです(超えたら、その後全て打ち切られるというものではありませんよ)。
現行では、令和3年分までの各年分の合計所得金額が 3,000万円以下 の場合に住宅ローン控除を適用するものとされてきましたが、令和4年分以後の各年分については、2,000万円以下 となる予定と税制大綱からは読み取れます。
なお、床面積40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額1,000万円以下という令和3年改正事項もありましたが、この点は変わらない様子と読み取りました。
(*)「合計所得金額」とは、簡潔に表現すると、損益通算後・繰越控除前・所得控除前の所得(その年分のもうけ)のことをいいます。例えば、サラリーマンであり、かつ、副業や投資などをしていない人の場合は、年末調整の源泉徴収票に記載される給与所得控除後の金額そのものが合計所得金額になってくるかと思います。国税庁HPに、正式な(かえって難解な)記載がありますので、こちらも参考にしてみてくださいね。
1,000万円分、上限が低くなったので、 所得が高い人にとっては特に不利な改正案ということですね…。
あた~!
そうなりますね。
さらに、一般住宅については、借入限度額の枠も縮小されるそうです。この点も、納税者不利の改正案と言えるかと思います。
なお、念のための補足ですが、多額のローンを組んではいけない・お金をたくさん借りてはいけないという趣旨ではありませんよ。住宅ローン控除の算定の基礎となる借入金の上限額が低くなりそうだというお話しでございます。
あひぃ~・・・(号泣)
なにか、納税者有利のポイントはないのでしょうか?
政府の社会政策的な方針により、令和4年・令和5年の認定住宅については、特定取得と同額の高水準のまま(借入限度額5,000万円で据え置き?)とするように読み取れます。
あと、控除期間が、現行の10年間から、改正となれば13年間となるそうです。令和3年改正で登場した特例として10年間+3年間(特殊な計算を要する)というのがありましたが、今回の13年間は本則的な取扱と読み取りました。
これらの点だけで言えば、納税者有利と言えるかもしれませんね。
おぉ!地獄に仏っ!
でも結局のところ、、、住宅ローン控除の改正案の全体の印象として、納税者有利になったのか、納税者不利になったのか、よくわかりませんが、いかがでしょうか?
そこで、令和3年税制改正と令和4年税制大綱を基に、「あすも/道明誉裕税理士事務所」が独自に、下表にて作成・分析しました!
居住開始年 | 適用対象 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 1年あたり 最大控除額 | 期間全体の 最大控除額 | |
一般住宅 | 参考)令和3年特定取得 | 4,000万円 | 1.0% | 10年+3年 | 40万円(特殊計算あり) | 520万円 |
令和4年・令和5年 | 3,000万円↓ | 0.7%↓ | 13年↑ | 21万円↓ | 273万円↓ | |
令和6年・令和7年 | 2,000万円↓ | 0.7%↓ | 10年- | 14万円↓ | 140万円↓ | |
認定住宅 | 参考)令和3年特定取得 | 5,000万円 | 1.0% | 10年+3年 | 50万円(特殊計算あり) | 650万円 |
令和4年・令和5年 | 5,000万円- | 0.7%↓ | 13年↑ | 35万円↓ | 455万円↓ | |
令和6年・令和7年 | 4,500万円↓ | 0.7%↓ | 13年↑ | 31.5万円↓ | 409.5万円↓ |
1年あたりの最大控除額の比較、控除期間全体の最大控除額の比較であれ、令和4年改正案は納税者不利の改正となる見込みと判断しております。
あくまで与党案のドラフトですが、納税者側サイドからは残念な感じの改正になりそうですね。
折角、コロナ疎開による地方都市の住宅投資熱がついてきていただけに、冷や水にならなければ良いのですが…。
ところで、現時点では与党案のたたき台に過ぎないとは言え、法案可決成立後、すぐに施行される条文である点にも、今から十分留意しましょう!
例えば、令和4年1月から3月の間にマイホームを借入金にて購入する場合などは、特に今回の改正の動向をチェックするようにしましょうね。
マイホーム購入時期よりも、法案の可決成立時期が後になるかと思いますのでね。令和4年4月以後の購入とするのも一案かと思いますよ。
また、マイホームの土地・建物を夫婦で共有で購入するような場合などは、所得の比率・借入金の比率の差の関係で、夫婦間で贈与税が生じたりするケースもありますし、また、なにかしらの理由で後々、共有持分の割合の変更などを行うとしたら、贈与税・不動産取得税なども将来的に考慮することになりうるケースも存在します。
どの道、住宅ローン控除1年目は確定申告が必要なので、マイホーム購入前の段階から、必ず税理士には相談するようにしましょうねっ!
はいっ!
マイホーム購入前の検討段階から、税理士の先生に相談しますっ!
「あすも/道明誉裕税理士事務所」としても、ご相談受付していますよね?
もちろんです!
「あすも/道明誉裕税理士事務所」は、ご相談・申告等、承ります。
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