住民税の申告は、どのような場合にするの?所得税との違いなどのやさしい解説と無料試算アプリもあります
所得税の確定申告書を提出しなかった者に、市町村役場から連絡が…
いやぁ~…お陰様で年末年始を家族と存分に楽しみました~。
本年も「あすも/道明誉裕税理士事務所」を、何卒よろしくお願い申し上げます。
Nさんは、今回の所得税の確定申告は、ご準備もバッチリということでしたね。
では、Nさんのご家族の所得税の確定申告は、いかがですか?
そういえば、私の分以外の事はあまり考えていませんでしたねぇ。
私の母は、基本的には年金所得者(公的年金等の雑所得)なのですが、シルバー人材センターなどでの副業(雑所得)や、生命保険の年金所得(公的年金等以外の雑所得)なども結構あるらしいんです。株の売買(分離課税)や、懸賞(一時所得)なども好きで結構やっているそうです。
ただ、所得控除も結構大きい関係で、確定申告としての所得税は発生しないと試算したことから、所得税の申告はしないみたいですね。
私の母は、所得税の確定申告をしなくても、ほんとうに大丈夫なのでしょうか?
所得税(源泉徴収ではなく、確定申告相当)が生じないような計算結果であれば、一部例外(給与収入2千万円超・2カ所給与など)を除いて、申告義務はないとされております。
よって、今回のNさんの母様の場合、所得税としては、申告をしなくても特に問題ないかと思います。
国の税務当局である税務署から電話がくるような事は、計算が正しい限り、恐らくはないものと思います。
ただ、所得税の確定申告書を提出しなかった者のうち、給与・年金以外の所得がありそうな者などに対しては、市町村役場の住民税課から、「住民税の申告書」の提出を要請される場合もあり得ますので、ご留意ください。
なんと!
そういうこともあるのですね。
寝耳に水みたいで、結構びっくりするでしょうね?
書面が郵送されてくる場合もあれば、電話で連絡がくる場合もあるそうですよ。
そうですか~。
でも、所得税の確定申告が不要なのに、市町村から住民税の申告の要請がくることもあるというのは、いったい、なぜでしょうか?
まず、所得税の確定申告があれば、そのデータが自動的に住所地の市町村役場にも伝送されることになっておりますので、市町村役場も住民税の計算をすることができます。
これに対して、所得税の確定申告がない場合には、上記のデータ伝送がないことになりますので、市町村役場には住民税の計算の根拠データがないため、その住民に対して直接お尋ねがくるというわけですね。検証するためのデータそのものがないからというのが、理由の1つ目ですね。
所得税と住民税では、控除額が異なる所得控除があり、かつ、税額控除の仕組みも異なるので、税額が異ってくることも理由のひとつと言えるでしょう。
また、国(税務署)は、源泉徴収のような前払い制度と、さらには、給与所得者・年金所得者の年末調整などで、所得税の確定申告は不要となりうることを、ある程度状況を把握している様子です。
これに対して、地方自治体が課す住民税は、前払い制度ではないですし、年末調整などの第3者による精算もないので、市町村役場では、いまひとつ状況がよくわからない部分もあるからかと思われます。これが理由の3つ目となります。
他にもあるのかもしれませんが、私感としては以上ですね。
タテ割行政や、日本の行政機関を連携する部分でのDXの遅れも、関係しているかもしれませんね。
なるほどですね~。
ところで、所得税と住民税では、計算や取扱など、どのように違うのでしょうか?
同じとされたり、違うとされたり、いまひとつわかりません。
「あすも/道明誉裕税理士事務所」代表の私感も多分に交えてですが、以下に比較表としてまとめてみました。
所得税 | 住民税 | |
10種類の所得計算 | 基本的には相違点なしですが… | 【例外】所得税で「青色事業専従者給与」としなかったものを、住民税においてだけ必要経費に算入するという規定も存在します。かなりマニアックな取扱ですので、検討したい人は、所得税・住民税の両方に詳しい税理士に相談しましょう! |
所得控除 | 基礎控除・配偶者控除・ひとり親控除などに近年改正があり、判定や控除額などに留意すべきですね | 所得税よりも控除額が低めに設定されております。よって、基本的には、住民税の方が課税所得金額は大きくなりがちですね。所得税で税金が出なくとも、住民税で税金が出たりする大きな要因のひとつです。 |
税率 | 累進課税です。最高税率は45%ですね。所得に応じて税率も上がる仕組みです。 | 10%(指定都市以外は、都道府県民税4%・市町村民税6%)の固定税率です。税率は所得によって変化しません。なお、一定の所得がある人には、均等割(5千円)という所場代のような税金が課されます。 |
税額控除 | 投資減税など、国の政策の関係で、所得税でのみで適用される税額控除も存在します | 調整控除など、住民税にしかない税額控除が存在します。所得税と住民税で同じような名称でも計算の仕方が全く異なる税額控除も存在します。 |
申告書の提出先 | 所轄税務署(国) | 住所地の市町村役場の住民税課に相当する担当部署 (名称は自治体ごとに異なる場合もあります) |
納付・賦課 | 確定申告期限(原則として、翌年3月15日)までに納付 | 事業者であれば、翌年4月以後に普通徴収のための賦課徴収の決定がされ、分割して賦課されます。給与所得者・年金所得者であれば、支払者を介して、6月から特別徴収がされます。 |
所得税と住民税では、所得や保険などの支払い・扶養の状況など、大元のデータを共通して用いている部分も多いのは確かですが、所得計算以降は似て非なるモノとも言えるでしょう。
違いも、よくわかりました!
そう言えば、「住民税非課税世帯」という言葉をニュースなどでよく聞きますが、これってなんですか?
なにか良いことでもあるのでしょうか?
読んで字のごとく、住民税が一切生じなかった世帯のことですね。
世帯の構成員の全員が均等割すら課されなかったとも言い換えることができます。
景気が急速に悪化した場合などに、市町村から住民税非課税世帯に対して、クーポン券や補助券(地域振興券のようなもの)が配布されたり、生活のための一時金などを給付したりすることが、以前ありましたよね。
そう言う意味では、住民税の申告を通じて、住民税がゼロであることを、権利として主張することも、ご家庭の状況によっては重要な事とも言えますね。「申告は権利」ですからね。
ありがとうございました。
住民税の申告書を提出する意義について、よ~くわかりましたよ!
権利としての申告の場合であれば、なおのこと大切ですね。
最後になりますが、住民税のセルフチェックをしてみたいので、いつもの無料試算アプリもご紹介いただけますか?
試算アプリ! いいですね。
プロの税理士としても、お願いします。
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