行政機関の委員の委嘱料・謝金・手当等の報酬は、なに所得?所得区分について、やさしい解説あります。
事業所得?給与所得?一時所得?雑所得?非課税?…どれ?
いやぁ~…お陰様で年末年始を家族と存分に楽しみました~。
本年も「あすも/道明誉裕税理士事務所」を、何卒よろしくお願い申し上げます。
専門家としても著名なNさんは、昨年、国のある調査委員会に出席していましたよね?
国から、源泉徴収された後の謝金を、手取りで数万円分もらったかと思いますが、所得税の確定申告書に載せましたか?
の…、載せていないですが、なにか?
(国からもらうんだから、非課税なんじゃないの?)
1万円以下ですと非課税ですが、超えますと課税となります。
Nさんは、国から数万円謝金をもらっており、また、青色申告で事業所得に関する申告をする方ですから、なにかしら謝金の金額を載せる必要がありますね。
源泉徴収もされていますから、精算のためにも、なおさらですね。
Nさん!
私も、八千代市の都市計画審議会の委員ですので、昨年、委嘱料を市から受け取りましたよ。
同じ取扱ですので、所得税や住民税の「所得区分」を一緒に考えましょう!
それで…、委員手当等は、いったいなんの所得区分に該当するのですか?
事業所得? 給与所得? 一時所得? 雑所得?
いったい、どの所得でしょうか?
<納税義務者Nさんの個人的なお考え>
専門家としての起用だから、個人事業の所得と同じ事業所得と思うのですが…?
行政に雇用されているわけじゃないから、給与所得ではないような気がしますがねぇ…?
行政=法人から贈与としてもらうと考えるなら、一時所得かなぁ?
よくわからないから、なんでもBOXの雑所得?
控除額や合計の仕方が各種所得で異なるので、選択ミスすると、税金が違ってくるぞっ!
ひぃ~…、パニック~!
ズバリ!
正解は、「給与所得」です!
「給与所得の収入金額」に計上しましょう!
以下のように、所得税法28条の通達として、28-7があります。
Nさんの懸念の通り、通達がないとしたら戸惑うところですので、「給与等とする。」と言い切って、指示されている点がポイントですよね。
ちなみに、「等」とありますが、所得税法28条に「給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。」の「等」ですね。
(委員手当等)
28-7 国又は地方公共団体の各種委員会(審議会、調査会、協議会等の名称のものを含む。)の委員に対する謝金、手当等の報酬は、原則として、給与等とする。ただし、当該委員会を設置した機関から他に支払われる給与等がなく、かつ、その委員会の委員として旅費その他の費用の弁償を受けない者に対して支給される当該謝金、手当等の報酬で、その年中の支給額が1万円以下であるものについては、課税しなくて差し支えない。この場合において、その支給額が1万円以下であるかどうかは、その所属する各種委員会ごとに判定するものとする。(平2直法6-5、直所3-6改正)
引用 : 国税庁 法令解釈通達 法第28条《給与所得》関係 28-7
おぉ!
明快ですね。
おそらく、支払いの際に、日額表・乙欄などによる源泉徴収がすでにされていたはずですよ。
そして、ちょうど今時期(1月中旬~下旬)になると、「給与所得の源泉徴収票」が、国・地方公共団体から、自動的に郵送されてきます。こちらにも、ばっちり「給与」と書いています。
なぁ~んだぁ~。
待ってれば資料がくるんなら、心配なしじゃないですかぁ~。
給与所得が正解ですね!
それなら、簡単かんたん…。
も~ぅ、びっくりさせないでくださいよ~ぅ。
なにかの手違いで、源泉徴収票が郵送されてこない場合もあるかもしれません。そういう場合は、行政の担当課に電話して、再送して貰わなくてはいけません。
また、郵送されてきたとしても、資料を紛失するとか、単に申告書に載せ忘れたとかの失念もしがちですよ。
確定申告の柱となる事業所得などに気を取られて、事業所得などに誤って不正解の所得区分に計上しない様にも留意ですね。税金が違ってきます。
・Nさんは、事業所得に関する仕訳帳が気になり、そっと手にとって、見始めました。
そうですか~。
そういえば、国から預金口座に振り込まれていたのですが、
青色決算書・貸借対照表の表示の関係で、預金口座のお金の変動も、なにかしら仕訳入力しないといけませんよね?
どんな仕訳を切ればいいですか?
預金○円/事業主借○円(委員手当等・給与所得の収入・手取り額)
という仕訳で、いかがでしょうか?
さらに追加して、
日額表・乙欄の源泉徴収税額も、
事業主貸○円/事業主借○円(委員手当等・日額表・乙欄・源泉徴収税額)
として、補助勘定も活用しながら、仕訳しておくと、確定申告の際の源泉徴収税額の精算のデータとして役立ちますよ。
ところで、
行政の委員会などに参加するために、Nさんのお財布から交通費を支出したかと思います。
この場合の交通費の支出は、給与所得に対応するものとなります。
事業所得の必要経費に算入できませんので、特に要注意ですね。
給与所得対応(事業性なし)ですので、消費税の課税仕入れとならず、仕入れ税額控除もできないという点にも、同時に留意ですね。
事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき金額は、事業所得の総収入金額を得るため直接要した費用の額か、事業所得を生ずべき業務について生じた費用の額とされているからですね。
以下、所得税法37条により、委員手当等(給与所得)に対応する交通費支出は、事業所得の必要経費には入れられないという見解になるわけですね。
(必要経費)
第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
引用 : 所得税法37条
あっ…!
(*Nさんは、仕訳帳を見て、青ざめる…)
【誤記帳】
交通費○円/現金○円(課税仕入れ・課のみ対応)
行政の委員会参加の交通費の支払いを、事業所得の必要経費・消費税の課税仕入れとして、誤って仕訳していました!
直ちに仕訳を以下のように修正するか、又は削除します~。
【正】
事業主貸○円/現金○円
(給与所得対応の交通費支出のため必要経費不算入・事業性なしにつき不課税)
トホホ~。
ちなみにですが、
「特定支出控除」という給与所得における経費的な取扱の特例制度も(一応)あります。
支払い者の承認や給与所得控除額の1/2を超えるなど、ハードルがかなり高く、(適用するなと言わんばかりに)適用実績が極端に少ない税制のひとつですよね。
よって、行政の委員会の交通費支出は、切捨て・仕訳無し(又は事業主貸で仕訳)とすることが多いかと思います。
ところで、
Nさんは、この謝金だけでなく、Nさんの会社から、役員報酬として、給与ももらっていますよね?
そうなんですよ。
…と言うことは、役員報酬+謝金が、給与収入になるわけですね。
そうですね!
他に給与等がなければ、正解だと思います。
複数の源泉徴収票を1月中にもらうことになるかと思いますので、全ての源泉徴収票の内容を、しっかり計上したいところですね。事業所得について申告するNさんのように、申告義務がある人は、仮に給与所得控除額以下の給与収入だとしても、省略はせず、計上することになりますね。
申告義務がない人も、源泉徴収税額の還付の場合には、是非還付申告を検討すると良いでしょう。
所得税の確定申告書の第2表に「所得の内訳」という欄があり、「収入金額」「種目」「支払者」と「源泉徴収税額」を表示しますので、そこに反映されていれば、おそらく大丈夫でしょう。
色々ありがとうございました。
給与所得が思っていたより増えて、税金も以前の予想よりアップしそうですが、正しい納税のためですから、しっかり所得区分しますね。
そういうわけで、セルフチェックもしてみたいので、いつもの無料試算アプリもご紹介いただけますか?
試算アプリ! いいですね。
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