所得税の確定申告で取得費・譲渡費用・必要経費となる税金・租税公課とは?相続税取得費加算アプリもあります
算入できる・できない、どこで控除するのかなど、やさしく解説します

令和4年が始まって、1月も気がつけば、早いもので、もう下旬ですよ。
時間が経つのは早いですねぇ~。

そうですよね。
光陰矢のごとしですよね~。

ところで…
Nさんは、今回の所得税の確定申告は、年末までにご準備もだいたいできているということでしたね。
不動産所得・事業所得・雑所得の必要経費に算入できる税金(租税公課)、譲渡所得の計算上、取得費や取得費加算、譲渡費用として控除できる税金などの処理は、大丈夫そうですか?

税金・租税公課の処理をいったいどうするのか、ですね…?
<Nさんの個人的な見解です>
税金ですから、なんでも算入(控除)できるような気もしますが…?
いやいや、税金だからこそ、なんにも算入(控除)できないような…?
どこに算入するのか、どこで控除するのかも、よくわかりません…
…う~ん…

大混乱っ!

大丈夫です!
やさしく解説しますよっ!
まず、第1ステップです。
所得税の基本的な考え方から入りますね。
取得のためなら取得費、譲渡のためなら譲渡費用、それ以外で業務上・各所得のために直接必要なら必要経費という区分の仕方をします。
なお、取得費・譲渡費用には家事費も算入しますが、必要経費に家事費は算入できませんので、事業供用割合による按分も含めて、ご留意ください。
取得費 | 取得のため (買うため・建設するため…) |
譲渡費用 | 譲渡のため (売るため…) |
必要経費 | 業務上、各種所得のために直接必要な経費 (売上原価・販売費・一般管理費など…) |
家事費 | 生活費・プライベートの出費など *取得費・譲渡費用にはなりうるが、 必要経費にはなり得ない (家事関連費は事業供用割合による 按分で一部必要経費算入も?) |
(*注)一般の方向けにわかりやすくした当オフィス流の考えですのでご留意ください。
よって、「税金」の納付・納入が「なんのため」であったかで、取得費・譲渡費用・必要経費・家事費の4つの枠組みに区分するところから入るわけです。まずは、ここからですね。

なるほど~。
では、ここから第2ステップですね?
いつもの仕訳で、私にとって最も身近である「必要経費」に算入できる・できない税金の解説から、お願いできますか?
必要経費となる・ならない税金

必要経費に算入できる・できない税金・租税公課の処理につきましては、個別に定めがありますので、 事務的に従うのみとなります。
以下の表(*)にまとめておきました。
(*)一般の方向けにわかりやすくするため、補足や理由も添えていますが、個人的な見解や意見・感想も交えていますのでご留意ください。自己責任の上でご活用ください。
税金の名称 | 補足や理由など |
利子税 | 所得税を延納した場合の税金です 所得税ですが、特殊な計算式で計算した金額を算入できます |
事業税 | 翌年の必要経費に算入します 廃業年は見込額を計上します |
事業所税 | 事業税と名称が似てますが、全くの別物です 事業規模の大きさで課税される税金ですので、 個人事業者の場合、レアケースかも? |
消費税 | 本税と消費税差額を算入する場合があります 税抜・税込で処理方法が違うのでご留意ください 控除対象外消費税額は、税理士との相談がオススメです |
固定資産税 都市計画税 | 基本的には、計上時期として、 全額・納期到来分・納付済分が選択できます |
登録免許税 (権利以外) | 業務用資産を相続・贈与により取得した場合も必要経費へ |
自動車税・ 自動車取得税・ 印紙税など | 業務上なら算入できますね |
税金の名称 | 補足や理由など |
所得税 | 所得課税上、税額が算定できなくなるからですね。 上記の「利子税」だけは例外です。 |
住民税 | 所得課税上、税額が算定できなくなるからですね。 (*Excelで言うところの「循環参照エラー」?) |
相続税 | 事業資産を相続で引き継いだとしても、 家事費と同じ考え方です。 相続税の取得費加算は後述します。 |
贈与税 | 事業資産を贈与で引き継いだとしても、 家事費と同じ考え方です。 |
登録免許税 (権利) | 特許権・実用新案権・鉱業権などは取得価額へ |
延滞税・加算税・ 印紙税の過怠税 | 国の反則金などは、会計上経費とできますが、 税務上は経費として認めない考え方があります。 |
延滞金・加算金 | 地方自治体の反則金などは、会計上経費とできますが、 税務上は経費として認めない考え方があります。 |
罰金・科料・過料 | 行政の反則金などは、会計上経費とできますが、 税務上は経費として認めない考え方があります。 |
その他家事費 となる税金 | 非業務用資産の固定資産税は家事費なので必要経費不算入 非業務用資産の取得時の登録免許税などは取得費へ |

算入(控除)できるのに・算入(控除)しない分には、税務調査で指摘されることはないかと思います。別の調査などの関係で税務署がこれに気づいたとした場合、ご親切に教えてくれることも中にはあるのかもしれませんが、税法上の違反ではないので、おそらくスルーされてお終いでしょう。
なお、上記が計上の失念によるミスでしたら、「更正の請求」という制度で、多く納税しすぎた分の還付の申請も検討できますので、知っておくと良いでしょう。その場合、基本的には、ご自身か、関与する税理士が気づかなかったら、損してそのままとなります。
しかし、逆に…
算入(控除)できないのに・算入(控除)してしまった場合、税務調査で指摘されるかと思います。税務署も見逃さないでしょう。過去にいくつか判例もある様子です。「修正申告」や追徴課税・ペナルティーなどになる恐れもあるかと思います。
よって、税金・租税公課の仕訳処理も、慎重に行う必要があるかと思います。

やさしい解説で理解はできましたが、
自分で判断するにはコワイものも、中にはありましたね。

難度が高い判断は、税理士に相談ですね。
では続いて、譲渡所得の取得費・譲渡費用に進みます。
取得費となる・ならない税金

減価償却資産の場合は、以下の税金を取得価額に追加して計上して、減価償却し、取得価額から減価償却累計額を控除したものが取得費となります。
税金の名称 | 補足や理由など |
非業務用資産取得時の 登録免許税・不動産取得税・印紙税 | マイホーム取得などプライベートな 取得の場合ですね |
業務用の登録免許税 (権利) | 特許権・実用新案権・鉱業権などは取得価額へ |
税金の名称 | 補足や理由など |
業務用資産取得時の 登録免許税・不動産取得税・印紙税 | 業務用なら必要経費へ (前述しましたね) |

ところで…
譲渡所得には、「相続税の取得費加算」という所得ベースでの控除制度もありますよね。
相続税は、必要経費には一切計上できませんが、相続財産の譲渡において一定の要件を満たせば、一部を取得費に加算できるという納税者有利の制度です。相続税の申告期限の翌日以後3年以内に相続財産を譲渡する場合に適用がある旨、知っておきたいですね。
ただ、譲渡所得という時点で計算も複雑で・添付資料も多いですし、ましてや、取得費加算によってさらに難度があがるため、税理士に申告代行を依頼するのが一般的です。
相続と譲渡のタイムラグの関係で、更正の請求によって、遡及して適用するケースもあり得ますので、これも知っておくと心の準備ができてよいでしょう。
よって、譲渡する前・相続申告をする前までに、税理士に早めに全体感を相談すると良いでしょう。
譲渡費用となる・ならない税金
税金の名称 | 補足や理由など |
収入印紙代 | 売買契約書に貼付したもので、 売り手側として負担した場合ですね |
登記料 | 売り手が負担した場合 |
税金の名称 | 補足や理由など |
固定資産税 都市計画税 | 売るために負担した税金ではないからですね |

やさしい解説ありがとうございました。
早速、令和3年の1年間分の租税公課の勘定と仕訳をチェックですね。
セルフチェックをしたいので、いつもの試算アプリもご紹介いただけますか?

無料試算アプリ! 良いですね。
私もプロの税理士として活用したいです。

承知いたしました!
とりあえず、このページには、先ほど話題に挙がった「相続税の取得費加算」の簡易試算アプリを、以下に貼っておきました。
他にも70を超える試算アプリを用意しておりますので、是非ご活用ください。
アプリの使用方法

ホームページ上で稼働する判定アプリです。ダウンロードする必要はございませんので、ご安心ください。その分、多少の文字化けがあると思いますが、ご容赦ください。プログラムの中身そのものを見ることができる形式としております。
「▶Run」を押して、はじめて頂くと、右側の「Result」の画面(インタプリタ)に質問や解説などが出てきます。カーソルにマウスを合わせ、質問される項目について入力ください。自動的に場合分け計算がされます。
半角数字、整数で入力の上、「Enter」で確定してください。自動的に判別され、結果が出ますよ。
それでは、アプリを御利用ください。
アプリです。「▶RUN」で質問が始まります↓
*「trinket」のクラウド連携の関係で、表示がされなかったり、プログラミング作動不良が起きることが確認されております。「リロード🔄」などですぐに修正されるケースがほとんどですので、トライしてみてください。
*「枠」をずらすことができますので、見えにくい場合には調整してみてください。

結果はいかがでしたか~?
他にも、やさしい解説・無料クラウド試算アプリあります!

税金や関係する事項の留意点・試算アプリを、各回テーマごとにまとめたブログを無料公開しております。

セルフチェックしたい方は是非ご活用ください!
「あすも/道明誉裕税理士事務所」では、直接、ご相談(*)も承りますので、お気軽にお問い合わせください。
(*)確定申告の「受付」・「料金」・「ご予約」に関するご相談(=カジュアル面談)は、30分間無料のWEB面談をご利用いただけます。なお、本題となる「税務相談」そのものは、有料となりますのでご留意ください。
各種税制に関する具体的なご相談サービス一覧

当オフィスでは、税理士5.0+技術者として、各種の税務に関するサポートをしております。総合的な事前対策支援や、高度な税務に関する税務相談・申告代行などを随時受け付けております。30分無料WEB面談実施中ですので、お気軽にお問い合わせください!

具体的なサービスはこちらに記載しています。
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