あすも使えるアイデア・テクニック(カイゼン逆引き!)「不具合があるのはわかっているのですが、問題の本質や原因がはっきりとは見えてきません。なにか良いQC手法はありませんか?」
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うちは製造業なのですが、連続生産ラインで、規格外品の発生率である「不良率(又はアウト率)」が最近少し高くなってきているんです。製造ラインのモチベーションも下がりますが、なによりムダなコストとなり、会社の利益を下げる要因にもなりますよね。製造面でも、経営面でも大きな問題です。しかし、なんらかの不具合があるのはうっすらわかっているのですが、問題の本質や原因がはっきりとは見えてきません。業務カイゼンのために、なにか良いQC手法はありませんか?
解決のヒント「パレート図+特性要因図+層別+管理図」などのQC7つ道具でPDCA!
パレート図、特性要因図、層別、管理図などのQC7つ道具というものがあります。戦後の昭和時代に、日本の産業が特に活発だった時期から活用されている古典的なQC手法です。古典的とは言っても、令和時代の産業はもちろん、サービス分野などでも広く活用されるくらい、有用なアイデアツールとなります。QC7つ道具をもちいて、カイゼンを継続的に行い、PDCAサイクルをまわすと良いでしょう!
パレート図とは?
パレート図・・・最大の問題点を探し出す方法。たとえば、数多くある項目のうち、どの項目に的を絞れば効率的に成果が得られるかがわかる。
引用 「品質管理がわかる本」p155 佃 律志著 日本能率協会マネジネントセンター発行
<特徴>
・早期に着手すべき問題点が明確になります。一番左にくる、メインの不良から手直しするのが基本となります。重点管理・ABC分析などとも言いますね。
・パレート図によらず、順位が低くても、カイゼンしやすいところから手直しするのも手です。
<作図の方法>
・不良をサンプリングし、カウントします。
・横軸に品質特性や不良項目を、縦軸はカウント数をとり、カウント数が大きい順に左から並べます(ソート)。
・サンプリング数の割合の累計折れ線グラフも一緒にグラフに書き込んだら完成です。なんのためにあるかというと、折れ線グラフの右肩上がりの角度がキツイほど、1位の品質特性は、2位との影響度の差が大きいと判断できます。よって、1位の品質特性は、直ちに修正しがいのある品質特性であると判断するのが一般的な見方で、真っ先に1位をつぶしに行こうという考え方になってきますよね。
・分析ソフトは基本的な「エクセル」で十分です。「エクセル」ですと、表をつくるだけで、グラフは自動化でつくれます。「おすすめグラフ」を選択するだけです。開発に時間を掛けずに、現場でパット、どんな感じかあたりをつけたいだけであれば、エクセルで十分ですね。
・「Rやpython」でつくるという手もあります。自動解析ソフトにまで昇華したい場合、エクセルですと難しくなりますが、Rやpythonでプログラミングしておくと、関数として組み込んだりできますので、汎用性があって良いですよね。AI自動解析やビッグデータ解析向きです。
<事例>
連続製造ラインの製造担当者に、定期的に検品をしてもらい、不良による排斥(リジェクト)をカウントしてもらっています。不良排斥数の大きい順に、品質特性を並び変えてみました(ソートといいます)。なお、今回のレベルならエクセルで十分足りますし、解析に係る人件費などの費用対効果を考えてもエクセルがベストと考えます。会社は利益追求が前提であり、学者さんではありません。私も含めて、日本人はついつい、圧倒的なすごいプログラムをつくりたい、ディテールにこだわりたい、見た目も良くしたい、という気持ちにもなるのかもしれませんが、やたら時間を掛ければ良いというものではありません。解析の作業時間にもムダが生じ得ます。よって、解析するための必要時間と適切なツール選びも、普段から気にしましょう!
これを「パレート図」としてグラフ化してみましょう!「おすすめグラフ」ボタンを押すだけです。セルへの入力も含めて、10分しないでつくれます。
・左から見ていきます。異物付着、管理図上方管理限界線オーバー、印刷面スリキズによる不良検品が多い様子ですね。まずは異物付着から問題解決すべき!という考え方になりますね。もしかしたら、上位3位までの3つの品質特性は、互いに悪さの相互作用があるのかもしれませんよ。こういう予測も立つわけです。
・それ以外の項目は、優先順位も低いですし、もしかしたら検品のカウントミスかもしれませんので、一旦無視すると良いと判断できますね。
*こんな感じでアタリをつけるのに役立つのが「パレート図」なんです。簡単で、サッと作れる便利な解析ツールですね。解析作業に掛けるスピードも重要です。
特性要因図とは?
特性要因図・・・結果(品質特性)に影響をおよぼす要因(原因)を図に整理したのもの。整理にはできるだけ多くの関係者が集まり、ブレーンストーミングを行う。
引用 「品質管理がわかる本」p155 佃 律志著 日本能率協会マネジネントセンター発行
<特徴>
・特性要因図は、別名「フィッシュボーンチャート」とか、「魚の骨」などと称され、ホワイトボードなどに書き出して、みんなでブレーンストーミングするのに使うものです。とても便利で、会議室でなくとも場所を問わず、誰でもすぐ作れるすぐれものですね。
・コミュニケーションもはずみますので、QCサークルのモチベーションアップにもつながりますね。
・私は、「ゴールアライメント」のコンサルティングでも使っていますね。
<作図の方法>
・左から右に向かって大きな矢印(背骨)を書きます。一番右には、問題のテーマとなっている品質特性(例えば、不良率が高いことなど)などを書きます。
・4M(材料・工程・人・方法)などとして、枝(肋骨)を伸ばします。なにかわかり次第、枝葉を増やすのもよいでしょう!
・4Mに各原因となりそうなものをブレーンストーミングで書き込んでいきます。基本的に意見をつぶしたり、否定しないようにしたいところです。
*問題点が抽出されますので、原因の見当がつくようになってきます。
<事例>
・コミュニケーションや迅速性が求められるので、ホワイトボードで十分です! WEBに載せるため、今回はPowerPointで作成しておりますが、こんなにキレイにつくる必要は全くありません。 ホワイトボードに殴り書きでOKですよ!
・パレート図の1位「異物付着」から手直しすることにしました。一番右の魚の頭の部分にテーマとなる品質特性を描きます。
・まず4Mを書き込みます。その後、現場担当者や品質管理責任者などで、茶菓子を食べながらリラックスして、ブレーンストーミングすると良いでしょう! 和気あいあいで仲良くでOKです。小競り合いとかもいらないです。とにかくたくさん意見を出してもらって、書記役がホワイトボードにどんどん書き込んでいきます。
・やたら時間の長い会議も、会社の利益からするとムダになりかねませんので、司会は全体感を見て効率的に会議運営に努めましょう。
*どうやら、製品寸法が一部大きくなったため、連続製造ラインの機械にキズが入り、マシンオイルが少し漏れて、製品にかかったことが浮かび上がってきました。ストーリーが見えてきますね。あくまで仮説ですので、一度これに基づいて現場の確認と手直しをしてみると良いでしょう!
層別とは?
層別・・・データを効率よく活用するには、原因や対策を4Mや時系列などに分けたほうがよくわかる。データをあるグループに分けて考えていくことが層別である。
引用 「品質管理がわかる本」p155 佃 律志著 日本能率協会マネジネントセンター発行
<特徴>
・図書館や書店で、蔵書を分類し、案内図を表示していますよね? それにそっくりで、業務の諸問題を本に置き換えて分類したようなものです。層別することで、問題点の本質を見極めたり、問題解決の糸口が見えてくるようになります。
<作図の方法>
・問題点を、大分類・小分類などに分けて、リスト化します。表にするだけですので、エクセルか、手書きでもOKです。
<事例>
・事例の異物付着を層別してみます。どこに、なにが、どのように、と言った感じで、細分化していくと良いでしょう。
・機械油らしいということは、特性要因図でわかりましたが、どこの工程から発生したか、発生源をとらえにいきます。
機械油A | 機械No001 | プレス付近 |
レーン付近 | ||
機械No002 | プレス付近 | |
レーン付近 | ||
機械油B | 機械No003 | プレス付近 |
レーン付近 | ||
: | : | : |
・以上の層別データから見当をつけて、製造部の担当が各現場を確認したところ、機械No.002レーン付近に機械油Aがたくさん付着しているのを発見しました。
・製品の寸法が大きめに偏っていたことから、その異常な寸法の製品が大量に通過したことから、機械No.002の製品送りレーンに異常な圧力が掛かり、機械の継ぎ目からマシンオイルが少しずつ漏洩し続けていたものと考察されました。
原因はわかりましたが、再発防止も大切です! あとは、日常の管理をどうするかですね。そこで、管理図の登場です。
管理図とは?
管理図・・・製造工程が安定した状態にあるかどうかを調べるため、あるいは製造工程を安定な状態に保持するために用いる図。
引用 「品質管理がわかる本」p155 佃 律志著 日本能率協会マネジネントセンター発行
<特徴>
・時系列に製品の品質特性を打点したもので、中心線からやたら離れたプロットがないか・データに偏りはないかなどをモニタリングするものです。
・規格外がないかは勿論として、3σ(シグマ)、6σなど標準偏差とのバラツキが時間で変化するかどうかもチェックするものです。
・工場の各工程で、抜き取り検査・検品・各部位の測定などを行って事前に取り決めた様々なデータをとります。ISO9001品質管理文書のひとつとなる場合もあります。
<作図の方法>
・横軸にサンプリング日時、縦軸が品質特性のデータの値となります。通常は、何個か測定した平均値をプロットします。
・規格外や標準偏差から離れたプロットを発見した場合、できるだけすぐに上司に報告し、原因調査や手直しなどをしたりします。
<事例>
・層別から、製品の寸法が大きい状態が続いたために、レーンを圧迫したことからマシン油が漏洩したことがわかりました。よって、製造部では、1日に100個の製品サンプルを抜き取って製品の外形寸法を測定することにしました。非破壊で測定し、ラインに戻します。各日100個の平均値の推移は以下の表のようになりました。
・規格は、500.00 mm ± 1.00 mm を許容範囲としています。最大値、最小値から見ても「規格内」に収まっていることがわかります。
・上方管理限界線(UCL)と下方管理限界線(LCL)の3シグマの範囲内にも収まっていることがわかります。3シグマの範囲内とは、平均値±3×標準偏差σのことを言います。
・時系列の折れ線グラフを作成することで、管理図となります。このレベルでしたら、エクセルで十分ですし、時短のためにも望ましいと思います。抜き取りサンプリングも、測定も、分析・解析も全て自動化にするなら、pythonでプログラミングも良いでしょう。
・プロットが偏っていないかも注目です。同じ方向や直線的に7つ点が並んだら、規格内や3σの範囲内だとしても要注意です。今回は7つ以上、同じ傾向のプロットは発見されなかったので、工程は安定していると判断することができます。品質管理は、TVドラマや映画とは逆に、「なにも起きない」・「ヤマ場なし」・「異常なし」が良しとされます。この調子です。
なるほど!
これらのQC7つ道具で、PDCAサイクルを回して、モニタリングしてみます!
ムダがなくなれば、製造の担当者の給与もアップできるし、会社も利益体質になっていきますよね。意見が活発になったり、退職率が下がるなど、みんなのモチベーションも徐々にあがると思います。 正のスパイラルを回して、会社全体の士気を上昇させます!
ご紹介したもの以外にもたくさんQC手法があります! よろしければ当オフィスまでお問い合わせください!
問題解決、キックオフですね!
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