税金どうでしょう?イラスト解説「個人事業者の必要経費に算入できる・できない家事費の事例・法人の損金との対比」
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クリニックを経営している個人事業者の医師です。
診療所建物や医療機器の減価償却費、器具備品代、薬品代、医療に関する書籍代、看護師さん・事務員さんへのお給料などを、事業所得の必要経費としています。
ところで、つきあいもかなり多いので、ゴルフ代・飲食代・旅行代金なども年間で数百万円になるのですが、交際費として全額を必要経費に算入して節税しても良いのですか?
医療法人にすると、損金などでなにか違いがあるのでしょうか?
いつものように、イラストによる税法解説などもあるとありがたいですね。
事例の場合、現状では、ゴルフ代、飲食代などの交際費部分の必要経費算入は、ちょっとリスキーかも?
業務として根拠があるものだけを選別してから、必要経費に算入するようにすると良いかもしれませんね。
「あすも/道明誉裕税理士事務所」は、頑張る個人事業者の皆様を応援いたします!
そこで、今回は、「個人事業者の必要経費に算入できる・できない家事費の事例・法人の損金との対比」を取り上げます。お役立て頂ければ幸いです。
「個人事業者の必要経費に算入できる・できない家事費の事例・法人の損金との対比」
今回は、「個人事業者の必要経費に算入できる・できない家事費の事例・法人の損金との対比」を取り上げます。
個人事業者の必要経費算入は、「経費性」・「債務確定主義」などによって判定されます。特に、個人事業者の場合、「経費性」に反対する概念として、「家事費」・「家事関連費」の考え方があるのが特徴です。
「家事費」 とは、早い話、生活費です。100%プライベートの費用ですから、必要経費には全額が算入できないものとなります。家事費であるのに、必要経費にムリに算入していたら、後日、税務調査にて否認されたというケースは多々報告があります。
例えば、 診療所・クリニックを個人経営する個人事業者の医師が、ゴルフ代・接待交際費・飲食費として数百万円を必要経費に算入し、税務調査にて指摘された事例も聞いたことがあります。ご存じの通り、クリニックのお客様は、ケガや病気の「患者さん」なわけですが、治療中の患者さんと一緒にゴルフのラウンドをしたり、全快祝いで飲みに行くのか?というのが税務調査・指摘の大義名分です。社会通念上の観点(つまり、常識)でチェックされると思っておくとよいでしょう。
一方、「家事関連費」は、業務費と家事費が混在するものです。金額を明確に区分できれば、業務費部分だけは、必要経費に算入できるものとなります。但し、根拠が明確でない場合は、税務調査・指摘事項として、必要経費への算入が否認される恐れもありますので、注意が必要です。
個人事業者は、経営者であると同時に、生活者・一般消費者でもあるため、法人にはない考え方が導入されています。この「家事費」を無視して、なんでもかんでも必要経費に算入していると、税務調査・指摘事項となる恐れがでてきますので、注意が必要です。
経費概念 | 反対概念 | 簡単に説明すると? | |
法人 | 損金 | 損金不算入 | 全て業務用扱い。課税の公平性から、損金算入限度額のように、別表にて金額調整している【量的な調整】 |
個人事業者 | 必要経費 | 家事費 | 業務部分と家事費部分に明確に区分する。別表による金額調整のようなものはない【質的な調整】 |
法人は、存在自体が100%営利目的の団体とされているので、そもそも「家事費」という概念が当てはまりません。やること、なすこと、全てが業務用という扱いになります。根拠の無い出費は、むしろ「使途不明金」だとか、「会社法」の「背任」の範疇かと思います。会計基準や会社法などで問題のない出費だとしても、課税の公平性から、異常に高額な出費については、損金算入限度額という金額的な調整を、法人税申告書の各種別表上で行うわけですね。
このように、個人事業者の必要経費と、法人の損金は、似て非なる概念と言う事になりますね。
<発展> 法人・個人事業者、どっちが有利?
必要経費・損金の観点1つとってみても、皆様の経営方針しだいで、法人・個人事業者の有利・不利が生じてきます。
個人事業者の交際費は、上記の損金不算入のような金額制限の規定は存在しません。これだけ聞くと、交際費が多い場合には、個人事業者を選択したりすることも検討の余地はあるかと思います。但し、業務上の根拠が薄い交際費は、一転して、全て家事費扱いされるリスクもありますので、根拠資料の保存が重要になってきますね。
法人成り・個人成り検討材料にもなりますので記載しましたが、必要経費・損金以外の要素(例えば、ブランド・知名度・従業員数・資本金・均等割など)も、総合的に勘案して決めると良いですよね。
「個人事業者の必要経費に算入できる・できない家事費の事例・法人の損金との対比」の税法解説
「個人事業者の必要経費に算入できる・できない家事費」について、税法解説します。
<個人事業者の必要経費に算入できる・できない家事費とは、なんでしょう?>
国税庁HPには以下のようにあります。
No.2210 やさしい必要経費の知識
1 必要経費に算入できる金額
事業所得、不動産所得及び雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
2 必要経費の算入時期
必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額(債務の確定によらない減価償却費などの費用もあります。)です。
つまり、その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりませんし、 逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります。
この場合の「その年において債務が確定している」とは、次の三つの要件を全て満たす場合をいいます。
(1) その年の12月31日までに債務が成立していること。
(2) その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。
3 必要経費に算入する場合の注意事項
(1) 個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。
(例)交際費、接待費、地代、家賃、水道光熱費
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
(2) 必要経費になるものとならないものの例
イ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費になりません。逆に、受取った人も所得としては考えません。
これは、土地や家屋に限らずその他の資産を借りた場合も同様です。ただし、例えば子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になります。
ロ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除きます。)は必要経費になりません。
(注) 青色申告者でない人についての事業専従者控除の金額が、必要経費とみなされます。
ハ 業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になります。
(注) 不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地等を取得するために要した負債の利子の額は、不動産所得の計算上必要経費になりますが、不動産所得の金額が損失(赤字)となった場合には、その負債の利子の額に相当する部分の損失の額は生じなかったものとみなされ、他の所得金額との損益通算はできません。
ニ 業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失及び業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になります。
ホ 事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。
ヘ 所得税や住民税は必要経費になりません。
ト 罰金、科料及び過料などは必要経費になりません。
チ 公務員に対する賄賂などについては必要経費になりません。
引用 : No.2210 やさしい必要経費の知識
業務上の経費としての根拠があること(経費性)、家事費ではないこと、債務が確定していること(債務確定主義)がポイントですね。
いかがでしょうか?
このように、基本的には、税理士への個別の相談をお勧めしておりますが、セルフチェックの需要にも応えるため、記載しました。
「個人事業者の必要経費に算入できる・できない家事費の事例・法人の損金との対比」に関する具体的なご相談サービス一覧
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