税金どうでしょう?【番外編】「被相続人の空き家3千万円特別控除は、なぜ使いにくいのか?代案は?」・「空き家問題・所有者不明土地問題」にも触れます。

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空き家問題に悩む
A様

親が亡くなり、財産を私1人で全て相続したのですが、遠方にある親(被相続人)の土地・家屋も相続することになりました。

私(A様)自身は、元々、自分で建てたマイホームを所有しており、そこに居住していますので、親から相続した家屋住むつもりはありません。よって、現在は、いわゆる「空き家」状態となっております。

昭和中期瓦屋根木造家屋で、耐震補強もされていない危うい状態なのですが、繁華街のビルに囲まれるように建っています。建物としての価値は全くないのですが、付近の地価の相場は高い状況です。土地そのものは価値がありそうなので、売却することを検討しております。

被相続人の空き家3千万円特別控除という所得税・住民税の制度もあるそうですが、なんだか要件が多く・厳しくて適用しにくい感じです。

耐震改修更地化する現預金がありませんし、更地化したら固定資産税もハネあがるのではないでしょうか? 売るためだけに大型投資した挙げ句、結局売れなかったら、行政はどうしてくれるのでしょうか?

このままだと、社会問題となっている「空き家」と化してしまいそうですが、なにか他に有益な税制ありますか? 

空き家問題や所有者不明土地問題状況などについても触れてください。

あすも代表

「あすも/道明誉裕税理士事務所」は、個人の資産税にも全面対応いたします!

そこで、今回は、「被相続人の空き家3千万円特別控除は、なぜ使いにくいのか?他に有効な税制はないか?」を取り上げます。お役立て頂ければ幸いです。

「被相続人の空き家3千万円特別控除は、なぜ使いにくいのか?代案は?」

あすも さくら

今回は、「被相続人の空き家3千万円特別控除は、なぜ使いにくいのか?他に有効な税制はないか?」について取り上げます。

税理士で技術者です。
お任せください!
税理士で技術者です。
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あすも代表

今回は番外編です。

利用頻度の高い税制スキームについては、いつもプログラミングし、連日アプリを公開しておりますが、今回は、残念ながら利用頻度は極めて低いと思われますので、プログラミングは割愛させて頂いております。

使いにくい理由と代案について考察します!

あすも代表

被相続人の空き家3千万円特別控除 とは、なんでしょう?>

まず、国税庁HPのこれに関する記載を見てみましょう。

適用しにくい・使いにくい原因と思われるところを、当オフィスの判断で、太字にしております。

No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

1 制度の概要

相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。

2 特例の対象となる「被相続人居住用家屋」及び「被相続人居住用家屋の敷地等」

(1) 特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件全てに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります。)をいいます。

イ 昭和56年5月31日以前建築されたこと。

ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと。

ハ 相続の開始の直前において被相続人以外居住をしていた人がいなかったこと。

 なお、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定の事由により相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋(以下「従前居住用家屋」といいます。)は被相続人居住用家屋に該当します。

※ 被相続人居住用家屋が従前居住用家屋である場合の各種要件は、コード3307で説明しています。

(2) 特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続の開始の直前(従前居住用家屋の敷地の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又はその土地の上に存する権利をいいます。

なお、相続の開始の直前(従前居住用家屋の敷地の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)においてその土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母屋と離れなど)のある一団の土地であった場合には、その土地のうち、その土地の面積にその2以上の建築物の床面積の合計のうちに一の建築物である被相続人居住用家屋(母屋)の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分に限ります

(略)

3 特例を受けるための適用要件

(1) 売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。

(2) 次のイ又はロの売却をしたこと。

イ 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

(注)被相続人居住用家屋は次の2つの要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(イ)の要件に当てはまることが必要です。

(イ) 相続の時から譲渡の時まで事業の用貸付けの用又は居住の用供されていたことがないこと。

(ロ) 譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。

ロ 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

(注)被相続人居住用家屋は次の(イ)の要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(ロ)及び(ハ)の要件に当てはまることが必要です。

(イ) 相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

(ロ) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

(ハ) 取壊し等の時から譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

(3) 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

(4) 売却代金が1億円以下であること。

(略)

(5) 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

(6) 同一の被相続人から相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。

(7) 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。

特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

4 適用を受けるための手続

この特例の適用を受けるためには、次に掲げる場合の区分に応じて、それぞれ次に掲げる書類添えて確定申告をすることが必要です。

(略)

引用 : No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

上記のうち、適用しにくいと思われる部分を一部抜粋し、私感を交えてですが、その理由を以下表にまとめてみました。

他の特例に比べ、要件がとにかく多い点
確定申告の添付書類も多い点
要件や添付書類が多いほど、適用のハードルは自然と高くなりますよね?

昭和56年5月31日以前に建築されたこと

旧建築基準法建物に限られる分、それ以降の空き家は除外ということで、範囲が狭まりますよね? 新基準により地震で倒れないとしても、ゴミ屋敷犯罪拠点などの問題もありますよね?

相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

老人ホームの例外も一応ありますが、いわゆる孤独死物件を想定ということでしょうか? また、確実に空き家となってからの適用ですので、 空き家の「予防」としては適用が難しいのではないでしょうか?
離れの部分は除外古い建物の敷地には離れがつきものと思いますが、ちょっと厳しすぎやしませんかね? 古くから、離れ居住スペースと考えるのが世間では一般的ですけども?
被相続人の居住用限定の要件住民票登録していた被相続人の居住用家屋のみということかと思いますが、事業物件・賃貸物件・(貸)別荘などの家屋の「空き家」は適用できないことになりますよね? シャッター街地方で増え続けていますが?
譲渡時まで事業・貸付けもダメですが、譲渡時までに耐震基準を満たす要件古民家カフェや、アパートとしたら適用できないことになりますが、そのくせ事業や貸付け利用せずに、売るためだけに耐震改修をせよとは、かなり酷では? 売れなかったら悲惨です。
譲渡時までに更地化し、建物を建ててはいけない点更地化すると、固定資産税などが最大6倍にハネあがるリスクがあるのですが、売れなかったら悲惨です。こちらも厳しすぎやしませんかね?
売却代金1億円以下土地が高いから売れずに「空き家」となっているケースは除外ということですが、繁華街のビル谷などの「空き家」が一番どうにかしたい社会問題なハズで、本末転倒では?

以上、私感ですが使いにくい原因列挙してみました。

あくまで空き家となった事後処理のためであり、空き家発生予防策にはならない点と、空き家と化した物件を売るために、わざわざ耐震改修か更地化などの大型投資をしなければいけない点が、この規定の使いにくさではないかと思うのですが、皆さんのご感想はいかがでしょうか?

「空き家問題」解消のために、税務当局も税収を減らさないことを前提に、夜通し知恵を絞ったのかもしれませんが、残念ながら使いにくい制度のような感じがしております。予防策や投資不要も意識した要件緩和があれば、「空き家問題」の解消も進展するかもしれません。要件緩和を待ちましょう。


代案は?>

その代わりというわけではありませんが、先日ご紹介した「相続税の取得費加算」なら、空き家の譲渡に関して、多少役立つかもしれませんので、こちらのブログをご覧ください。空き家3千万円特別控除よりかは金額的に効果が薄く感じられるケースもあり、パンチに欠けるかもしれませんが、無いよりはマシかと思います。耐震改修や更地化の大型投資要件がないので、現時点では、空き家3千万円特別控除よりも、相続税取得費加算の方が使いやすいような感じがしております。国税庁HPの通り、どちらか一方しか適用できないものとなっております。

いかがでしょうか?


今後さらに問題が大きくなる「空き家問題」と「所有者不明土地・放棄地問題」>

以前から指摘されてきている「空き家問題」は家屋版の問題ですが、同様に土地版の問題である所有者不明土地・放棄地等については、現在なんと九州の面積にも相当するそうで、さらに拡大する予想までされている様子です。まさに「どげんかせんといけん状況ですね。


このように、基本的には、税理士への個別の相談をお勧めしておりますが、セルフチェックの需要にも応えるため、以上を加味したアプリを開発しました。以下、使用方法をお読みの上、御利用ください。

「空き家問題」などに関する具体的なご相談サービス一覧

あすも代表

法人・個人事業者・その他個人の方向けのPRです>

当オフィスでは、税理士5.0+技術者として、いわゆる空き家問題などの税務に関するサポートをしております。総合的な事前対策支援や、高度な税務に関する税務相談申告代行などを随時受け付けております。30分無料WEB面談実施中ですので、お気軽にお問い合わせください!


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当オフィスでは、税理士5.0+技術者として、簡易的なpythonプログラミングソフトの開発も承ります。例えば、先程のインタプリタ型pythonアプリを、コンパイルして、当ブログ以外の画面でも、いつでもどこでも試算ができる実行ファイル型のソフトウエアとして提供することも可能です。貴社のご都合に合わせたカスタマイズも承ります。時短・合理化・コストダウン・DX推進にご活用ください。

お客様のために知恵を絞ります!
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あすも さくら

具体的なサービスはこちらに記載しています。

お客様のためにさらに研鑽します!
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息抜きマンガ「あすもんPDCA」
pythonアプリ開発編
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